「ヒメアノ~ル」「犬猿」の吉田恵輔監督が30年以上続けてきたボクシングを題材に、8年の歳月をかけ、自ら脚本を書き上げ、監督・殺陣も担当して作り上げた作品「Blue/ブルー」
ボクシングの試合で挑戦者を象徴する“ブルーコーナー”で戦い続ける者たちの生き様と、望みどおりにいかなくとも、前へ進んでいく者たちの姿を活写
ボクシングがあまりわからなくても、ちょっと笑えたり、ジーンときたり、誰が主役でも納得できる、登場人物のそれぞれに魅力を感じる、2回、3回と観てみたくなる作品でした
確かに松ケンが言っていたように、この映画は言葉にするのが、いい意味で難しいかもしれません
ただ何よりも、松山ケンイチ(瓜田)、東出昌大(小川)、柄本時生(楢崎)、この三人三様の個性が光ったプロボクサーぶりが素晴らしかったです
松山ケンイチの瓜田については
吉田監督がインタビューの中で「こんなにフラットな役柄は下手な役者が演じたらみんなの心に残らない。松山さんは、何もしないで、何かを見ている表情だけで、人を魅せる力がある人なんですよ」と語っている通り
松山ケンイチは本当に、その佇まいだけで、表情だけで、目だけで、全てを語り、観る人を惹きつける力のある人だと改めて感じます
ヒロイン 木村文乃さんは
小川の彼女で美容師であるごく普通の女性をあまりにも自然に演じていて、同じ女性として「ある、ある」的に感情移入できるシーンがたくさんありました。インタビューなどを見ていても実生活でもしっかりとした堅実な生き方をしている女性という印象が強いです
女性にモテたくてボクシングを始めた柄本時生くん
とぼけた味わいだったり、泣き虫だったり、強い意思を持っていたりと、役の中では様々な側面を見せてくれました。二人暮らしのおばあちゃんとのシーンでは切なさ中に温かみのある孫を好演しています。この方も父親ゆずりの演技派俳優ですね
そして!天才ボクサー役の東出昌大くん
よく「大根」「棒演技」と言われていて、例の騒動ではすっかり悪いイメージがついてしまった感じで、いまだ何か記事になるとコメント欄には批判の言葉が並ぶような状況ですが
今回の作品では天才ボクサーとして迫真の演技を魅(観)せてくれました
脳の病気に冒され記憶が飛んだり、ろれつが回らなくなる演技も見事で、今は決して棒ではありませんよ
東出くんは聖の青春のときにも「松山さんの演技に引っ張られ自分も10の力を出せた」と語っていましたが、彼も彼なりに努力をして成長した結果だと思います
確かに昨年の騒動の件に関しては、私も決して良しとはしませんが
人って誰だって生きている限り、大なり、小なり、過ちや罪は犯すものです
もちろん過ちや罪には赦せるもの、赦せないものはあると思いますが、自分たちとは無関係の不倫問題にああまで誹謗中傷を投げかけることが反対に怖いと思いますし
それをずっと責められ続けるのもいかがなものか、と思わずにもいられません(何度もとなると話しは別ですが)
ある記事のコメント欄で「東出が出ている段階で映画は観ない」というコメントが多数ありましたが作品に罪はなく
東出くんのことも、役者としての彼を認めてあげてもいいのかなと思います
この映画を観た多くの方々が称賛している通り、本当に素敵な作品です
上映していない地域もあると思いますが、機会がありましたらぜひたくさんの方に観ていただきたいと思います
舞台挨拶などのネタバレインタビューなどを見てから鑑賞するのも「あーここね」って楽しいものです♪